通説のジャズ屋の持ち替えフルートはしょぼいと言われるのがイヤで、
私は30年間はフルートを良く練習した。
お陰で、フルートもちゃんと吹けるサックスとして営業の世界では、重宝されたが、
地道なフルートの稽古が性に合っていたのだと思う。
その後、サックス吹きの第2楽器ではなく、メインの楽器に思われるように
腕目を上げていった。良く聞かれるのは、
サックスとフルート、全く違う楽器なのに、同じレベルで演奏しているように聞こえます。
菊地さんは、どちらがメインなのですか?それで、こう答えるようにしている。
どちらもメイン楽器ですよ。
練習したのは、モイーズのようなソノリテで、全音域をくまなく豊かで
余裕のある音にしたくて、ホイスリング(フッ、フッ、フッ)
と腹圧と息だけで響かせてから、ヴィブラートを掛けつつ伸ばす。
唇の裏に舌を触るフレンチタンギングなどよく研究して練習した。
音の良さに、自分でも陶酔できるレベルまで行くと、どんなシンプルな曲でも感動的に
演奏できると思う。
教則本は、西沢幸彦さんの言う通り、ケーラー中級が、まんべんなくフルートの
テクニックを向上させるのにとても役立った。モーツアルトやバッハなどのいろいろな
曲にも挑戦し、楽聖と呼ばれる人たちの崇高な魂にも触れた気がした。
フルートの稽古は、よく金管の練習に近いともいわれるし、アンブシュァ
などはトロンボーンにそっくりだそうだ。
僕は、もともとはサックス吹きで、ジャズサックス、特にテナーは長年にわたって研究してきたので
ジャズフレーズのストックはかなり頭の中にある。
でも、それをそのまま出してもカッコよくないのは、サックスフルートで、特性が全く
違うからである。フルートにあった形に、フレーズを組み立てなおす必要があり、
その時、ものをいうのは、基礎的なテクニックが、どの位あるかということになる。
自在性増すために、3オクターブにまたがるスケールや、アルペジオなどはより良く
練習したし、維持するために今でも続けているが、頭の中で想像できる音使いには、まだまだ
到底テクニックが足りないと痛感している。